功成り名遂げた著名人は名言を残しますが、意外と同じ内容を言っていることもあります。
たとえばスティーブ・ジョブズ。
今さら説明する必要もない著名人ですが、彼の思想が込められた最後のPC、MacBook Proを世に送りだした時、こんな事を言っています。
「偉大な大工は、たとえ見えなくてもキャビネットの後ろにチャチな木材を使ったりしない」
iPhoneでアップルの業績を一気に押し上げたジョブズですが、いきなりiPhoneを作ったわけではなく、アップルに復帰後(ジョブズはアップル創設者の1人でありながら一度、アップルから追い出されています)、iMacをデザインし、iPodを考え、そしてアルミニウムインゴットを削り出して筐体としたMacBook Proを考案しました。
このMacBook Proのボディはアルミニウムユニボデイと呼ばれ、登場した時、ボディ全体の端正な美しさにアップル・ファンは誰もが虜になりましたが、さらにファンを喜ばせたのは、「このMacBook Proは外観よりも美しい内観を持っている」というジョブズの言葉でした。
インゴットから削り出された筐体内部は幾何学模様を描き、その上にはデザイン性を優先した基盤が配置されています。
まったく見えないところに、PCの基本性能と関わりのないデザイン性を優先させることこそ、ジョブズの求めるクオリティであり、アップル・ユーザーの根源的なニーズだからこそ、先の名言を堂々と述べたわけですね。
…おかげで以後のMacBook Pro、ほとんど自己修復不可能なほど複雑で繊細になってしまいましたが。