フランスの諺、もちろん男と女の間の隠喩ばかりではありません。
男女の営みを「小さな死」と表現するほど哲学的な慣用句を残すお国柄だけに、深い意味を持つ表現の諺もあります。
「犬と狼の間」は日本の黄昏時を表す言葉です。
夕焼けの朱色と夜の藍色が混ざった黄昏時は、また狼が集団で家畜を襲いに来る時間帯でもあるので、家畜を飼う家は犬を離して警戒に当たらせるわけです。
ここから黄昏を示す諺となりましたが、犬と狼の間に黄昏時独特の不思議な空間が存在し、緊張感が伝わってくる諺となっています。
「爪の上のルビーを飲む」
この諺、言葉からきれいな情景が浮かんできますよね。
これは乾杯の時の礼儀を示す諺です。
日本語や中国では杯を乾かす、と書きますが、フランスでも注がれた酒は飲み干すのが礼儀。
ワイングラスを空け、爪の上に落ちた一滴まで飲み干して敬意を表す時などに使われます。
ワインをルビーに喩える辺りがいかにもフランス的。
この諺の派生系として「爪の上のルビーを作る」と「爪の上のルビーを払う」があり、ルビーはどちらも酒のツケを意味します。
この諺になると、さすがに相手が知らないと通用しません。
物知りのバーテンダーがいるバーならともかく、居酒屋では通用しないのでご注意を。