質実剛健、頑固一徹、現実主義ばかりがドイツの諺ではありません。
庶民の間で生まれたユニークな諺もあります。
「酒と女と歌を好まぬ者は一生バカである」
どこの国にも共通するようななんてことはない諺ですが、これをマルティン・ルターが唱えたというところがドイツらしいところ。
ルターといえばドイツが生んだ神学者で、宗教改革を行い、禁欲的なカトリック派に対して結婚も自由にできるプロテスタント派を設立した人物。
「明日、世界が滅びようとも今日、私はリンゴの樹を植える」とはルターの残した名言ですが、この名言の中には今日できることは今日行う、という教訓の他に、カトリックに対抗するために私はリンゴの樹(イブが食べた禁断の実=プロテスタント派のこと)を植えるというダブルミーニングであるところがユニークな点。
いえ、マルティン・ルターはプロテスタント派を築くまで散々、悩んだのですから、いくらなんでもこんな諺を残すことはしないでしょう。
享楽に耽る庶民の方便ですね。
「前かけとエプロンとスカート、この3つが全世界を滅ぼす」
またもや女性を悪者にする諺、ドイツにもしっかりとありました。
それにしても大げさなのはゲーテ出身のお国柄とでも言いましょうか、それともイタリアやフランスの男たちよりも、女性から酷い目に合わされているからでしょうか?