「ムッシュ、他にご注文は?」
「そうだな。部屋を1つ」
これも前項で紹介した「男と女」の一場面における男の方の主人公、ジャン・ルイの名セリフです。
フランスのプチホテルは1階が誰でも利用できるレストランで、2階以上に少ない数の客室を設けているところが多く(いや、フランスだけでなくヨーロッパのほとんどの国ですね)、わざわざホテルカウンターに行って予約を取る必要もないから、こんな名セリフが生まれてくるのであって、これを日本でやると「お客様、申し訳ありませんがホテルカウンターへお越しくださるようお願いします」などと言われ、まったく形無しとなってしまうのでご注意を。
ジャン・ルイ、こんなセリフをさらっと言ってのけるほど気障ですが。それだけの男ではありません。
モンテカルロ・ラリーに出場するほどのトップレーサーでありながら、表彰パーティの最中、アンヌから電報を受け取ると嬉しさのあまり、パーティを抜けだしてアンヌに会いに行っちゃうほどの情熱家です。
しかもラリーに出場したゼッケンのついたままのレースカー、フォード・ムスタングを飛ばして!
現在では考えられないほど緩いファクトリー体制と交通事情ですが、それでもアンヌからすれば最高に嬉しい行動でしょう。
男が恋愛したら、気障と情熱は必須アイテムです。