賢人の喩えはロジャー・ベーコンだけでなく古代ギリシャ人も同じような名言を残しています。
「言うべき時を知る人は、黙すべき時を知る」
こう言ったのは紀元前212年で生涯を閉じたアルキメデスです。
浴槽に満たしたお湯に身体を浸ければ、溢れだしたお湯の量が身体の体積と同じ、という「黄金の王冠」に由来するアルキメデスの原理は誰もが知っている流体静力学でしょう。
もちろん、アルキメデスの功績はこれだけでなく、数学や物理、天文学、さらに発明家としても数々の結果を残しています。
螺旋状のネジ構造を筒の中で回転させ、下にある水やその他の物体を上に汲み上げ、持ち上げるアルキメディアン・スクリューは現在でも当時の基本的な理論のまま使われていますし、敵船を沈める兵器、アルキメデスの鉤爪は現代の技術で再現したところ、見事に機能することが証明されています。
「多くの言葉で少しを語るのではなく、少しの言葉で多くを語りなさい」
この名言を残した人物はアルキメデスよりさらに古いギリシャの数学者であり哲学者だったピタゴラス。
多くを語るほど内容は薄くなり、その内容を要約すれば少ない言葉で済むのですが、残念ながら今の世の中、多くを語る人が親切と思われ、聞く方も少ない言葉で想像を喚起させるより多くの言葉の方が丁寧と感じるようです。
自ら、賢人になる資格を放棄しているようなものですね。